第8回 月見れば
お久しぶりの方はお久しぶり、初めましての方は初めまして。Znです。
今日は中秋の名月です。
一人暮らしを始めてから一切の季節感を喪失している私ですが、(???「たわけ!」)
やはりこの日はつい外に出て空を眺めたくなります。
地上の様子は変化すれども、月はさして変わることなく煌々と輝くわけです。
月夜に提灯というのもあながち嘘じゃないかもしれない。
ちょうど夏と秋の境にあるこの時期は、暑すぎず寒すぎず、
涼しい風を浴びながら空を眺める贅沢を満喫できます。
しかし時期だけではなく、月や星、そして夜そのものが人を惹きつける何かを持っているのではないでしょうか。
その一つは美しさでしょう。
――天の海に 雲の波立ち 月の船 星の林に 漕ぎ隠る見ゆ――
柿本人麻呂は夜空に例えて雲を波に仮託し、月という船が星の林を漕ぎ出で行く情景を表現しました。
「花鳥風月」や「雪月花」の言葉にも表れているように、自然の美しい景物と月は切り離せない関係だったと言えるでしょう。
他方で月は人を惑わし、精神をかき乱すという側面も有しています。
――月見れば 千々にものこそ 悲しけれ 我が身一つの 秋にはあらねど――
大江千里の歌からは、月を眺めてもの思いにふける孤独な姿が連想されます。
冬という生命と縁遠い過酷な季節の直前期を連想させるものとしてかもしれませんし、月自体にオカルト的な力があるのかもしれませんね。
狼男なども、人々が月に対して感じる不思議な力を象徴したものかもしれません。
私にとっては月は静寂と沈着を象徴しています。
焦っている時や気分が高揚しているときでも、冷静さを取り戻してくれる存在です。
皆さんにとってはどのような存在でしょうか。
今日ぐらいはのんびりと、月見バーガーでも片手に晩酌をしてはいかがでしょうか。